【Access VBA】「Object」と「ADODB.Connection」の違いとは？CreateObjectとNewの使い分け解説

✅ はじめに

AccessやExcelなどでデータベースと接続する際に利用される
ADODB.Connection と ADODB.Recordset。
VBAでこれらを扱うときに、次のような2通りの書き方があります。

' 遅延バインディング
Dim rs As Object
Set rs = CreateObject("ADODB.Recordset")

' 早期バインディング
Dim rs As ADODB.Recordset
Set rs = New ADODB.Recordset

これらは同じ動作をするようで、実は違いがたくさんあります。
この記事では、初心者でもわかるように、「Object」と「ADODB.Connection（またはRecordset）」の違いと、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

遅延バインディングと早期バインディングの違い

項目	遅延バインディング（CreateObject）	早期バインディング（New）
型の指定	Object型（あいまい）	明示的な型指定（強い）
参照設定	不要	必要（ADOライブラリが必要）
補完機能（IntelliSense）	× 使えない	○ 使える（開発が楽）
エラー検出	実行時	コンパイル時（安全）
実行速度	やや遅い	速い（最適化される）
配布のしやすさ	◎（環境問わず動く）	△（参照設定が必要）

〇サンプルコード比較

■ 遅延バインディング（CreateObject で動的に作成）

Public Sub Sample_LateBinding()
    Dim conn As Object
    Dim rs As Object
    Dim sql As String

    Set conn = CreateObject("ADODB.Connection")
    conn.Open "DSN=MyDSN;UID=user;PWD=pass"

    Set rs = CreateObject("ADODB.Recordset")
    sql = "SELECT * FROM M_User"
    rs.Open sql, conn, 1, 1

    MsgBox rs.Fields("担当者名称").Value

    rs.Close
    conn.Close
    Set rs = Nothing
    Set conn = Nothing
End Sub

補完機能が使えないため、タイポや構文ミスに気づきにくい。配布や軽量スクリプトには便利です。

■ 早期バインディング（Newキーワード＋明示的な型指定）

Public Sub Sample_EarlyBinding()
    Dim conn As ADODB.Connection
    Dim rs As ADODB.Recordset
    Dim sql As String

    Set conn = New ADODB.Connection
    conn.Open "DSN=MyDSN;UID=user;PWD=pass"

    Set rs = New ADODB.Recordset
    sql = "SELECT * FROM M_User"
    rs.Open sql, conn, adOpenStatic, adLockReadOnly

    MsgBox rs.Fields("担当者名称").Value

    rs.Close
    conn.Close
    Set rs = Nothing
    Set conn = Nothing
End Sub

Visual Basic Editorで補完が使え、コードの可読性と保守性が圧倒的に向上します。

■ どちらを使えばいいの？

シチュエーション	推奨スタイル
開発・メンテナンス重視	■ 早期バインディング（New）
実行環境が多様（配布）	■ 遅延バインディング（CreateObject）

■ 接続先の種類によって変化するのか？

両者の違いはあくまで「VBA（VB言語）とADODBライブラリの使い方の違い」であり、
接続先のデータベースの種類（Oracle / SQL Server / MySQL など）には依存しません。

■ まとめ：ObjectとADODB.Connectionの違いを理解して、状況に応じた書き方を！

VBAでは Object を使うことで 型をあいまいにした柔軟な記述ができますが、安全性や保守性を犠牲にすることにもつながります。

一方、ADODB.Connection や ADODB.Recordset のように型を明示することで、コード補完やエラー検出が強力にサポートされ、開発がスムーズになります。

配布するマクロや、実行環境が複数あるケースでは、遅延バインディングの方が適していることもあるため、プロジェクトの特性に応じて選ぶのがベストです。

■ 実務でのおすすめ

開発中のマクロ → 早期バインディング：型チェック・補完・高速実行
他人のPCでも動かしたい → 遅延バインディング：参照設定なしでOK

「何が良い／悪い」ではなく、目的と相手（環境）に応じて選ぶことが、VBA開発者として重要です。

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