【第1回】PAD×VBA×BATでシステム保守運用はどこまで自動化できるのか?

■ 概要:その定型作業、本当に手動でやる必要ありますか?

業務システムの運用・保守において、毎日のように繰り返されるルーティン作業。
たとえば:

  • 決まった時間にバッチファイルを実行
  • Accessのデータを集計してExcelに貼り付け
  • ログを目視でチェックして、異常があれば報告
  • 定時でバックアップ実行→フォルダに保存

これらを毎日“手で”やっているとしたら……その時間、もったいないかもしれません。

今回は「Power Automate Desktop(PAD)」「VBA」「BATファイル」という3つのツールを使って、
どこまで“全自動”が実現可能なのか?という仮説のもと、ご紹介していきます。


■ 今回の記事のゴール

第1回目となるこの記事では、以下の導入的な内容を解説します:

  • 3つのツールそれぞれの役割
  • どうやって組み合わせるのか?
  • なぜこの構成が「ちょうどいい」のか?

■ 自動化三銃士

1. BATファイル(バッチファイル)


Windows OSに標準で搭載されている自動処理スクリプト。
ファイル移動やコマンド実行、アプリの起動など、基本的な操作を一括で処理可能。

得意なこと:

  • ファイルコピー・移動・削除などの簡易処理
  • プログラムやスクリプトの起動
  • タスクスケジューラと連携し、定期実行も可能

欠点:
画面操作には不向き。エラー時の処理分岐が乏しく、GUI操作もできない。

2. VBA(Visual Basic for Applications)


ExcelやAccessに組み込まれているマクロ言語。
Officeアプリケーションの操作やデータ処理に絶大な力を発揮。

得意なこと:

  • Excel・Accessの自動操作(帳票作成、集計)
  • フォーマットに沿った出力・加工
  • ユーザーフォームでの入力補助など

欠点:
Officeに依存しているため、外部アプリとの連携や画面操作は苦手。

3. Power Automate Desktop(PAD)


Microsoft製のRPAツール。GUI操作の自動化を得意とし、ノーコードで複雑な処理が可能。

得意なこと:

  • アプリケーションやWebサイトのGUI操作
  • 他のツール(BATやVBA)の呼び出し
  • フロー作成が視覚的でわかりやすい

欠点:
データ処理ロジックや複雑な数式は不得意。VBAとの併用で補完すべし。


■ どう組み合わせるのがベスト?

3つのツールはそれぞれの“得意分野”がハッキリしています。
だからこそ、役割を分担させて連携することで、以下のような形が実現します:

処理工程 担当ツール
定時で処理開始 BAT(+タスクスケジューラ)
アプリ・ファイル操作 PAD
データ加工・帳票作成 VBA
結果報告・通知 PADまたはVBA + Outlook

このように、「BAT、PADで起動 → PADでGUI操作 → VBAで処理 → PADで通知」みたいな流れを構築することで、
ほぼ完全な自動化が実現可能です。


■ まとめ:この3つ、組み合わせたら最強説

  • 単体では限界があるけど、組み合わせれば互いを補完できる
  • 既存のリソース(VBAやバッチ)を活かせるため、導入コストが低い
  • すぐ始められて、すぐ効果が出る