✅ はじめに
Access VBAやExcel VBAでデータベースに接続・操作する際、登場する2つの技術が
DAO（Data Access Objects） と ADO（ActiveX Data Objects） です。
「どっちを使えばいいの？」「そもそも何が違うの？」「両方使ってもいいの？」
そんな疑問を持つ方のために、ADOとDAOの違い・使い分け・共存の可否についてわかりやすく解説します。
■ ADOとDAOの基本的な違い
| 項目 | DAO（Data Access Objects） | ADO（ActiveX Data Objects） |
|---|---|---|
| 主な用途 | Accessの内部テーブル・クエリ操作向き | 外部DB（Oracle, SQL Server）向き |
| 対象 | Jet/ACEエンジン（mdb/accdb） | OLE DB 経由の汎用DB |
| 構文の簡潔さ | Access専用なので扱いやすい | 柔軟だがやや複雑 |
| 参照設定名 | Microsoft Office xx.0 Access Database Engine Object Library （または DAO 3.6） |
Microsoft ActiveX Data Objects x.x Library |
| SQLサポート | クエリやテーブル名が通じやすい | 外部DBに強く柔軟なSQL構文が使える |
| 推奨場面 | Access単体アプリ、軽量データ処理 | システム間連携、外部DB接続、汎用化 |
■ 使い分けの目安
- Accessの中のデータ（テーブル・クエリ）だけ扱いたい → DAO
- OracleやSQL Server、MySQLと連携したい → ADO
- フォームやレポートと密接に連携する処理 → DAOが楽
■ 実際のコード比較
DAOでデータ取得（Accessテーブル）
Dim db As DAO.Database
Dim rs As DAO.Recordset
Set db = CurrentDb()
Set rs = db.OpenRecordset("SELECT * FROM 社員マスタ", dbOpenDynaset)
If Not rs.EOF Then
MsgBox rs!社員名
End If
rs.Close: Set rs = NothingADOでデータ取得（外部DB）
Dim conn As ADODB.Connection
Dim rs As ADODB.Recordset
Set conn = New ADODB.Connection
conn.Open "Provider=SQLOLEDB;Data Source=...;Initial Catalog=...;User ID=...;Password=..."
Set rs = New ADODB.Recordset
rs.CursorLocation = adUseClient
rs.Open "SELECT * FROM 社員マスタ", conn, adOpenStatic, adLockReadOnly
If Not rs.EOF Then
MsgBox rs!社員名
End If
rs.Close: conn.Close
Set rs = Nothing: Set conn = Nothing
■ ADOとDAOは共存できるのか？
〇 結論：共存は可能です！
同じプロジェクトで両方使っても問題ありません。
ただし、Recordset など名前が重複するオブジェクトがあるため、必ずライブラリを明示的に指定しましょう。
例：
Dim rs1 As DAO.Recordset
Dim rs2 As ADODB.Recordset〇 共存時の注意点
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 参照設定 | 両方のライブラリにチェックを入れる |
| 型の衝突 | Recordset や Connection は必ず DAO. / ADODB. を明示する |
| パフォーマンス | 両方を頻繁に切り替えると若干重くなることもある |
| 可読性 | 両方使うとコードが混乱しやすくなる。なるべく役割分担を意識する |
■ 実務でのおすすめ戦略
- Access単体アプリならDAOで完結がシンプル
- 外部システム連携や汎用化を意識するならADOが便利
- 既存資産にADOを追加する場合は、DAOを残して共存で移行ステップを取るのが現実的
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